【レポ】行ってきました!タルマーリーさん月曜見学会
鳥取県八頭郡智頭町にあるパン屋さん、タルマーリーさんに行ってきました!
かなりの長文になる予感。
パン屋さんと言いましたがパン、ピザ、ビール、日用品まで広く取り扱っていらっしゃって、カフェ&ライフスタイル提案ショップという印象です。詳細はタルマーリーさんのHPもご覧ください!
◆月曜見学会
そのタルマーリーさんで実施されているのが月曜見学会。
・オーナーの渡邉格さんによる講演+工房見学(1h)
・特製ランチ
・クラフトビール飲み放題(1h)
・お土産パン(2,000円分)
・特急列車の停車する智頭駅までの無料送迎
がセットになった、大満足のプログラムです。参加費は一人あたり5,800円。
※今回このブログ記事を書くにあたり、タルマーリーさんに掲載許可を頂いております!
智頭駅までは鳥取駅から特急列車で30分くらい。大阪駅からは2時間、岡山駅からは90分。列車の本数が少ないのが鳥取の弱点ですが、集合/解散時間を特急列車のダイヤに合わせてくださっているので智頭駅での待ち時間もほとんどなくスムーズに往復できました。
ちなみに鳥取駅~智頭駅間は路線バスが運行されています。1時間くらいのゆったりバスの旅を楽しみたい方はこちらもおすすめ!
◆行ってみた!
智頭駅に集合したらタルマーリーさんのスタッフさん運転の車に分乗させていただき、みんなでお店へ。智頭駅からは車で10分くらいです。
山のふもとの集落のなか、元保育園をリノベーションした店舗。
いちばん最初に見える壁がまずかわいい!ちなみにジャングルジムやブランコなど、園庭の遊具がそのまま残されていて、小さいお子さん連れでも待ち時間に困らないと人気です。
◆イタルさんのおはなし。発酵とわたしたち。
まずはオーナーの渡邉格(イタル)さんから、自己紹介+タルマーリーについて+発酵についてお話をうかがいました。
わたあめはイタルさんの著書を拝読してから参加しました。しかしその日のメンバーによって講演内容をアレンジして下さるそうなので、何も知らずに参加しても楽しめると思います。実際「タルマーリーについて知らない方はいますか?」と最初にイタルさんが聞いてくださったので、安心して聞くことができました!
イタルさんの著書はこちら。2作目も執筆中だそうです。
タルマーリーさんでは事業計画等を詳しく定めたりするのではなく、「無から有を生む」というひとつのコンセプトが全ての行動の出発点なのだそうです。そのコンセプトに対して現状の達成度合を確認し、次の方針を決める。
これ、一番最初に話してくださったのですが、かなり衝撃でした。何事においてもそうですが、軸となる思いがひとつ、ビシッとあれば、自ずとやるべきことが分かってくるんですね。最近のわたあめは今後の生き方に迷っていたのですが、コレ迷ってるんじゃなくて軸がない=何も考えられていないだけだ…!
最初はパン屋さんとして始められたお店ですが、ビールを醸造したときに生まれる酵母をパン・ピザに使いたいからという理由でビール醸造も始められたそうです。すごい行動力!そしてビールも、パンに負けず劣らずめちゃくちゃおいしいからすごい。いやほんとすごい。
イタルさんのお話、45分と短い時間でしたが中身ぎゅうぎゅうでした!わたあめが気になった点をダイジェスト版でお伝えします。
・おいしいものを作ることはおいしいものを作る人に任せて、タルマーリーは「意味のあるもの」を作る
→ご近所の方から「もっとおいしいパンを作って」と言われることもしばしばあるそう。(わたあめはおいしいと思うのですが…)リノベーションスクールで口酸っぱく言われた「尖らせろ!」というメッセージと通じるものを感じました。
・都会の資本主義社会に対して、田舎の循環型社会=自然法則に則った持続可能社会の成功モデルをタルマーリーで示す。
→野生の菌・酵母が起こす発酵に注目し、その出来/不出来に大きく関わる農作物の状態を調べ、それはどんな育て方・作り方(工房内外の環境)なのか、その生育方法は政治的/経済的にどのような施策に基づいているのか…と、微生物から国際問題まで大きな視点を持つことにつながるのだそう。ちなみに自然法則に則ると、農作物は無肥料が一番なのだそうです。
・直接コミュニケーションを取る。
→赤ちゃんであればオムツ無し生活、パンであれば砂糖や卵、牛乳を加えない。不可能なように思われるし実際難しいそうですが、やってみると楽しいのだそう。目的が明らかに、そしてシンプルになるそうです。
・表現が違う人に届くとかなしい
→例えばタルマーリーさんとは考え方の全く違う店にパンを卸しても、自分たち/卸先のコンセプトの違いが浮き彫りになるばかりで、どちらにとっても利益にはならない。
◆店内見学
イタルさんのガイドで店内見学させていただきました。全ての部屋、酵母や菌を採取するパン工房にも入らせていただいたのですが、逆にこっちが「入っていいんですか!?」と驚くくらい。見学中に出会ったスタッフさんも「うちには隠すようなところは何もないからねえ~」とおっしゃっていて、びっくりでした。
廊下。床や天井はかなりDIYで張替え等されたそうですが、壁(元手洗い場)はそのまま残されていて、保育園の面影を感じます。
カフェスペース。この日は平日+天気が良くなかったこともあり、お客さん少なめでした。
DIY燻製マシン。
ピザを焼いている窯。想像していたより小さかったのですが、すぐに温まる優れものだそうです。
ビール醸造の耐圧マシン。
天然酵母でビールを醸造しているところは、現在ベルギーに一部残っているものの日本ではタルマーリーさんのみだそうです。天然酵母だと酸味を出すことができるそうです。今年か来年にはパンのルヴァン種を使ったサワービールができるかもとのこと!味はベルギーのランビックに近くなるそうで、出来上がりが楽しみ~~
冷蔵室もDIY。断熱材を自分で壁に貼って、1部屋まるまる冷蔵室にしたんだそう!
竹に蒸し米を入れてパン工房に置いておくと酵母や菌が採取できる。
酵母は成功したものはもちろん失敗したものも保管。データをしっかり収集。
製粉機の部屋だけは外からの見学になりました。奥にあるのが製粉機!
工房内シンク。これも衝撃だったのですが、洗剤類を一切使っていないそうです!洗い物は大変だけど、洗剤を使うと洗剤を分解する菌が集まってしまうそうです。シンクだけでなく、イタルさんは普段の生活から洗濯・お風呂・歯磨きにも合成洗剤を使っていそう。(イタルさんいわく、歯磨き粉の使用をやめてから虫歯になったことはないそうです)
◆ランチ+ビールタイム!
お待ちかねのランチの時間です。いっただっきまーす!
ランチの時間もイタルさんが部屋にいて下さって、自由に質問できました。
ちなみにこの日の参加メンバーはパン屋さん、飴づくり屋さん、オーストラリアの栄養学の先生など世界各地から様々な方が集まっていたので、質問もバリエーションに富んでいて面白かったです。
ビールはサーバーから自由に飲み放題という太っ腹ぶり!ソフトドリンクも準備していただいていました。またお水も自由に飲めたのですが、庭の井戸からくみ上げた天然の湧き水で、とてもすっきりしておいしかったです。
この日のビールは「柚子ホワイトエール」。さっぱり爽やか系で、ぐびぐび頂いちゃいました。
ハンバーガーはイノシシのパティにレンコンとシイタケのスライス。やわらかめのバンズとジューシーなお肉、野菜の歯ごたえでおいしくいただきました!ふしぎな組み合わせだなと思って聞いてみたら、その時期の野菜を使うようにしているのだそうです。固定観念にとらわれない商品開発。
ピザ!トマトソースのトマトは無肥料栽培。チーズだけはニュージーランドから輸入しているそうです。畜産についてもお話しいただきましたが、いい牛乳は加工しなくても売れてしまうので、チーズなどの加工品はあまり作っていないんだそうです。
ブルーベリーのピタパン。焼いてから蒸しているそうで、もっちもちでした。
途中で柚子ホワイトエールがなくなってしまったので、違うビールを試飲させていただくことができました。スプリングブロンドという種類。ホワイトエールよりも色は濃い目。桃と花の香りで、爽やかだけどコクもある。これもめちゃくちゃおいしかったです!おみやげに瓶で販売されているのを買っちゃいました。
瓶ビールの販売はスプリングブロンドとスモークブラウンの2種類でした。スモークブラウンは苦味がおいしいタイプで、うまみに感動…!
サーバーがあれば樽での販売もしてくださるとのことですが、樽自体が要冷蔵のため、なかなか難しいのが現状だそうです。
◆おみやげ
帰るときに、1人づつ大きな紙袋に入ったお土産パンをいただきました。結婚式の引き出物くらいのボリュームです。パンは(たぶん)8種類。その日のお任せセットみたいです。わたあめは夫と参加したので2袋持たせていただいたのですが、食べきれないので友達とパンを食べる会を開きました!
紙袋にはFAXで使える注文用紙も同封されていました。HPからも注文できるので、いつでもタルマーリーさんのパンが楽しめますね。
見学会から帰ってから丸2日タルマーリーさんのパンを食べ続けているのですが、腸内環境が活性化されている気がします。これがイタルさんいわく「コンビニの前でたむろしているヤカラのような」野生酵母たちの力か…?
◆参加してみて...
最初はビール飲み放題に心惹かれて参加申し込みしました。「オーナーさんのガイドで見学かあ、ラッキー」くらいにしか考えていなかったのですが、これが一番ボリュームがあって、参加して良かったなと感じた点です。飲食業界のすみっこで生きているわたあめにとって、タルマーリーさんの価値基準の定め方を知ることができたのは大きな収穫でした。
「全て自分の糧になるし、それをやらざるを得なくなる」とイタルさんが言われていました。確かにタルマーリーさんの事業は、やりたいことというよりも、自分たちの考えの軸に対しての使命感に突き動かされているようなかんじがしました。
まず軸を持つこと。しっかり地盤を固めること。今年度はそれを目標にじっくりがんばってみようと思います。わたあめ、がんばるぞ!
帰るときに見つけたタルマーリーさんの壁。元気出る!